forza cafe
母と、
弟と、
田んぼの真ん中にある鳥居をくぐって裏山に登った。
弟はまだ小さく、
母には坂道が辛いのではないかと思い、
後ろにまわって母の背中を両手で押した。
照れくさかったから、
「早く登ろう!」
と、急かすふりをした。
急かしたことで母が無理をしまいか、
と思い、また不安になった。
山頂をぐるりとまわった。
現在のように、海を見下ろすモダンな家々も建ってなくて、
もちろんカフェもなかった。
すすきの中を歩いた。
一面、柔らかい羽毛の海のようだった。
すすきは背が高かった。
それで漸く、季節が秋だったことを思す。