ランドマークオカヤマ

個人的な記憶の道標

ironnauts

駐車場で、 車のなかで、 『ミスエデュケーション』が3周する間ずっと、 話して、笑いあって、手をつないで、抱き合ってた。 3周目で博多ラーメンを食べに行った。 店員のオーダーミスで煮たまごがトッピングされてきた。 駐車場に戻って4周目の2曲目で…

Dooby

その、ジョンという名前の陽気なニュージーランド人は、 ぼくらが店に入る前からカウンターで飲んでいて、 きっと楽しかったのだろう、 ぼくらもふくめて周りの客に酒をおごり始めた。 とにかく話好きな奴で、 英語が通じない相手でもお構いなしで話しかけて…

oltwax&gram

ゆうこりんはかずくんのことを師匠と呼ぶ。 かずくんはゆうこりんをDJにしたいらしい。 童謡のレコードを一枚ゆうこりんにやって、 「DJするときはこのレコードを持って来い」 と言ったらしい。 それ以来ゆうこりんはイベントのたび、 「師匠、わたしの出番…

TSUTAYA西大寺店

鳥取の小沢見海水浴場で毎年開催されている SUNLIFEという野外音楽フェスに行った。 その夜、星空の下で好きなSF映画の話をした。 「タイトル忘れたけど、書斎が宇宙につながってる話が良かった」 あきぽんがそう言って、 ぼくはその映画がきっと自分の趣味…

ママビスコッティ

「お酒飲めんから、酔ったときの楽しさが分からへん」 「まあ、えりちゃんいつも酔っ払っとるような感じじゃからな」 「え!どうゆうこと?わたしの普段がぼんくんの酔っ払ってるのといっしょなん?」 「いや ・・・なんかふわーとしとるが」 会話を聞きながら笑いを…

東山峠

東山峠あるじゃないっすか。 あそこをね、立ち漕ぎしたいの我慢して登るんすよ。 本当はしんどいんすけどあえて我慢して。 そしたらセックスみたいな感じになるんすよ。 チャリと俺との。 汗がフレームに落ちるじゃないっすか。 興奮するっすね。

HISHIO 岡山駅前店

若い男女の店員ふたりだった。 注文が一区切りついて、 店長らしい男性店員が外に出てガラス扉を布巾で拭いている。 どんぶりを片付けながら、 女性店員が微笑ましげに外に目をやる。 ふたりとも楽しそうだ。 午後5時は夕食にはまだ早くて店内は空いている。…

後楽園

式は身内だけで済ませるという新婚夫婦の写真撮影に呼ばれて後楽園に行った。 平日の昼間ということで親類と数名の友人だけで、 夫婦の他にぼくが知った顔はなかった。 園内を連れ立ってぞろぞろ歩き、 カメラマンの言うとおりに立ち止まってはポーズをとる…

西大寺駅

「家帰っても嫁も子供も待ってねーんだよ。待ってるのは犬だけだよ、犬はいいよ。ちょっとこの写メ見てくれよ」「なんだよこれ?」「猫だよ、西表島の」「イリオモテヤマネコかよ」「いや、ただの猫だ」「おれは対馬に行ったことあるぞ」「対馬にもツシマヤマネコいるよな…

岡北大橋

本町から岡北大橋を渡って中井まで歩く。 JR沿線にそって南北に広がる住宅地には、 網の目のように用水路が張り巡らされていて、 夜明け前には人影もなく、 立ち止まれば、水の流れる音があちこちから聞こえてくる。

ONSAYA 問屋町店

大野辻の交差点。 自転車ふたり乗りしておまわりさんに怒られた。 焼肉食べて、カフェに行って、 よしえの家まで、今度はのんびり自転車を押しながら帰った。 車通りも少なくなって、おまわりさんもいなかったけど、 まるい月が出ていた。

へべれけがじがじ

ほろ酔いマンションと呼ばれるビルがあって、 一階に、へべれけがじがじ という名前の飲み屋が入っている。 そこの店主が、ガジ君である。 ・・・・以上のような前情報を踏まえていないとどうなるか? という話である。 大阪からの友達を招いてホームパーテ…

黒島

2015年の牛窓ナチュラルキャンプ。 浜辺に建てたティピのなかに畳を敷いていたり、 森の奥にはハンモックを吊るして、 椅子が並べられていたり、 お客さんがくつろげるスペースがたくさん用意されていた。 「こんなにサービスしても、どうせクソみてーな…

邑久町役場前

次のバス停には人が待っていませんように と、 祈りながら歩く。 誰か待っている人がいると、 なにくわぬふりをして前を通り過ぎる。 運良く誰もいないバス停にたどり着いても、 遠くからやってくるバスの車内に人影が見えると、 恐ろしくなって、 こそこそ…

もったいない広場

路肩に軽四が停まっていて、 開いた運転席のドアから、 おっさんが半身乗り出していたので、 どうしたのかと思ったら、 こぼれないようにラムネの栓を開けているところだった。

forza cafe

母と、 弟と、 田んぼの真ん中にある鳥居をくぐって裏山に登った。 弟はまだ小さく、 母には坂道が辛いのではないかと思い、 後ろにまわって母の背中を両手で押した。 照れくさかったから、 「早く登ろう!」 と、急かすふりをした。 急かしたことで母が無理を…

岡山市農協牛窓支所

三十九号線を牛窓に向って走っていると、 紺浦の交差点手前のカーブした坂道で、 農協の倉庫の屋根ごしに、 一瞬だけ海が見える。 その道沿いには桜の木が植わっていて、 春には花の舞い散る下を中学生が自転車をこぐ。

yukuri

yukuriの庭で、 きゅうりのモスコミュールを飲みながら煙草を吸っていると、 ダニエルさんが店から出てきた。 デッキチェアにふたりで座って、 カタコトの英語と日本語でいろんな話をした。 注意深く耳を傾け、 相手の言葉を聞く。 そんな当たり前のことが楽…

ブルーライン西大寺神埼IC

「雨だ。」 と、思った。 ハンドルにあごを乗せ、 身を乗り出して見上げる。 フロントガラスは乾いていて、赤信号の先には青空が広がっている。 辺りを見回してみて、 ようやく、 ぱちぱちぱちぱち・・・ というその音が、拍手の音だったことに気づく。 カーオ…

中国銀行長船支店

いつも店内入り口付近に立っている、 おそらく支店長であろうと思われる痩身の男性が、 「いらっしゃいませ」 「ありがとうございました」 と挨拶してくれるのだけど、 だんだん発音がこなれてきていて、 この間なんかは完全に、 「一斉」 「nation」 って聞こえたん…

エテパルマ

「オオヤユウスケくんと作ったんだ」 そう言って原田郁子はピアノを弾いた。 やたらとタイトルの長いその曲は、 いまでもいちばん好きな曲だ。 ぼくは客席の後ろ、 ドアのそばに立って、 約束した女の子が来るのを待っていた。 あわよくばライブの帰りに、 彼…

CAFE MOYAU

「閉まってます。って看板出てたけど、どうしたの?」 「さっきスタッフと大ゲンカしちゃって、それで閉めてたんです」 「え?だいじょうぶなの?」 「もうだいじょうぶです。今おわびのドーナツ揚げたとこなんで!」 「ドーナツ・・・」 「いっこ食べます?」 「うん」

鳴滝森林公園

すっかり紅葉した落ち葉を拾ってフランソワが言う。 「どうして、葉っぱはこの色になるのか、分かる?」 ぼくは首を横に振る。 「葉っぱの色はもともとこんな色。夏の間だけ、光をいっぱい浴びて緑色になる。 夏が終わったらだんだん元の色に戻る。だからこれは…

鷺温泉

脱衣所で、 仁王立ちで、 ドライヤーをふたつ、両手に持って髪を乾かしているおじさんがいた。 鷺温泉の露天風呂には、 「武蔵の湯」 という名の湯船がある。

西大寺郵便局

前の車が少しだけ前進した。 車間距離が開いたけど、 相変わらず信号は赤のままだったから、 しばらくブレーキを踏んだままでいた。 その一瞬間、若い男性が目の前を横切った。 こちらに顔を向け、目を見て軽く会釈した。 たったそれだけのことをいまだに思…

城下地下広場

出店ブースの位置決め、 電源の確認、 搬入の手順。 目前に迫ったイベントの最終ミーティングを終えたナオちゃんとぼくは、 階段の途中で何組かの若者とすれ違う。 彼らは一様に、同じデザインのタオルを肩にかけたり、 頭に被ったりしている。 なんだろうね…

オレンジホール

maimaiから、 アメリカーノをテイクアウトして道路を渡り、 オレンジホール入り口のベンチに座る。 しばらくすると、 休憩中のルンバさんがやってきて隣に座る。 ふたりしてぼんやりと。 目の前の駐車場には櫓が組まれ、 音割れしたスピーカーから音頭が流れ…

足温泉

おっさんが突然、 景気よく都々逸みたいなのをやりだして、 こういうとき、 「いよっ!」 「よぉぉう!」 とか、 合いの手を入れたほうがいいんだろうか、 なんてぼんやりと考えながら見上げた夜空からは、 湯船に落ちる前に融けてしまいそうな、 小さな雪片が。

美観地区

路面店もすっかり閉まって、 街灯がぽつぽつ。 中橋渡って左か右か。 「よし、二手に分かれよう! おれはこっちだ!」 「じゃあ、わたしはこっちに・・・ってコラ!」 冗談ばかり。 手も繋がずに白壁の町。 暗くなるまで行ったり来たり。