後楽園
式は身内だけで済ませるという新婚夫婦の写真撮影に呼ばれて後楽園に行った。
平日の昼間ということで親類と数名の友人だけで、
夫婦の他にぼくが知った顔はなかった。
園内を連れ立ってぞろぞろ歩き、
カメラマンの言うとおりに立ち止まってはポーズをとる夫婦を手持ち無沙汰で眺める。
天気のいい日で和装の夫婦は暑そうだった。
ぼくは自分で切った髪の毛のことをずっと気にしていた。
後楽園を一周して撮影が終り、ぼくらは何ということもなく別れた。
岡北大橋
本町から岡北大橋を渡って中井まで歩く。
JR沿線にそって南北に広がる住宅地には、
網の目のように用水路が張り巡らされていて、
夜明け前には人影もなく、
立ち止まれば、水の流れる音があちこちから聞こえてくる。
ONSAYA 問屋町店
大野辻の交差点。
自転車ふたり乗りしておまわりさんに怒られた。
焼肉食べて、カフェに行って、
よしえの家まで、今度はのんびり自転車を押しながら帰った。
車通りも少なくなって、おまわりさんもいなかったけど、
まるい月が出ていた。
へべれけがじがじ
ほろ酔いマンションと呼ばれるビルがあって、
一階に、へべれけがじがじ という名前の飲み屋が入っている。
そこの店主が、ガジ君である。
・・・・以上のような前情報を踏まえていないとどうなるか?
という話である。
大阪からの友達を招いてホームパーティーをしていたときのこと。
なんの話の流れだったか、まさおが、
「へべれけのガジが~」
と言い出した。
大阪の友達はそれに反応して、
「なんやそれ、すごい通り名やな!」
と声をあげる。
へべれけのガジ
たしかに事情を知らない者にとっては、
片目のヤス
とか、
韋駄天のタツ
みたいなものである。
しかも、
へべれけのガジ
は、
ほろ酔いマンション
にいるのだ。
もはやほろ酔いなのかべろ酔いなのか分からない。
ぼくがこの間店に行った時には、
カウンターの椅子ふたつ使って寝ていたので後者であったが。
邑久町役場前
次のバス停には人が待っていませんように と、
祈りながら歩く。
誰か待っている人がいると、
なにくわぬふりをして前を通り過ぎる。
運良く誰もいないバス停にたどり着いても、
遠くからやってくるバスの車内に人影が見えると、
恐ろしくなって、
こそこそとその場を離れる。
どこに座っていいのか、
どこに視線をやればいいのか、
分からないのだ。
バス停からバス停へ・・・
そうやって3時間もかかって歩いて帰ったことが何度かあった。